波間に浮かぶイエロー、から一気に心を鷲掴みにされました。それぞれの事情、悩みを抱えた三人が気持ちを探り合い、閉ざされた心が解けてゆく。その関わり方がすごく自然で説得力がありました。人とは誤解、すれ違いもあり、分かり合えるのに時間はかかる。守り守られ、支え合うことの素晴らしさに触れ、しばらく余韻に浸っていました。
ラスト、海になる、は何度も目頭が熱くなりました。
この男は死神なんかじゃない、そう思ってました。やっぱり、と分かった瞬間から清音の言葉が胸に刺さって仕方なかった。私に問いかけられているようにも感じた。
町を一つの水槽と捉え、生きることを泳ぐと表現する。
私は、どういう水の中を泳いでいるのだろう。水槽、小さな町の。飛び出したいって思うこともある。しかし、何処へ行こうというのか。
その場所に留まる人、飛び立つ人。生きていける場所は人それぞれ。居場所はどこであれ、いつかは自力で広い世界を泳がなきゃいけない。時に、マウスブルーダーという存在に守られ、生き辛さを抱えながらも。
例え苦悩の連続でも、自分を信じ真面目に生きてゆけば、いつか報われる。この連作のように将来どこかで良いことがきっと待っている、そこに繋がるよ、そう信じたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2021年10月11日
- 読了日 : 2021年10月11日
- 本棚登録日 : 2021年10月11日
みんなの感想をみる
コメント 4件
ありが亭めんべいさんのコメント
2021/10/16
kazekaoru21さんのコメント
2021/10/16
ありが亭めんべいさんのコメント
2021/10/16
kazekaoru21さんのコメント
2021/10/16