本当に譲るべき人を譲らなければ、誰のための制度なのか。
ミステリー要素というより、生活保護受給に関する問題提起の作品と感じました。
震災後の混乱の中、予算、人員不足、様々な要素も重なり受給されない人たち。御上には逆らえないという考えの親世代の元育った自分には、抗ったところで成すすべもないという現実の重圧さが刺さりました。
真面目に生きてきた人ほど、生活保護を受けるのをためらうことがあり、罪を犯したことを武勇伝のように語る囚人が同じ税金で養われているという不条理さ。
国が定めた条件、我慢を美徳(?)とする国民性、家族に今の自分の姿を知られたくないとか、受給するには壁があるのだと知るきっかけにもなりました。
被害者も職務を遂行したわけだし、被害者自身も制度の犠牲になったということなのかもと。
けいさんの最後はやり切れず、子供と離れた場所で世帯を持つ現代の姿でもあるようで。とはいえ、置かれた立場、環境の中で人との触れ合いを求め、自分を全うしたけいさん、他所事ではないと身に沁みてしまいました。
平等に権利が守られているようでも、世の中の不平等さをみたようで、改めて考えさせられました。読んでよかったです。
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- 感想投稿日 : 2023年4月1日
- 読了日 : 2023年4月1日
- 本棚登録日 : 2023年4月1日
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