Penguin Readers: Easy Starters FLYING HOME (Penguin Readers, Easystart)

  • Pearson Japan (2008年9月7日発売)
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感想 : 18

童話は非常に好きである、もちろん、絵本も。童話や絵本の魅力とは何とも言い尽くしがたいものがあるが、やはり、「直截性」なのだろうか?とは思える。構成なんて考えなくてもよい。童話や絵本には、それよりも、著者の瑞々しい感性があればよい。「それこそ、なぜだろう?どうしてだろう?」そればかりを繰り返していてもよい。「どうして?どうして?」と聞きまわる少年がいるとする。彼は、「どうして?」とばかりきくことで煙たがられる。だから、彼はこう言うのである。「どうして、どうして?ってきいてはいけないの?」

つまるところ、童話や絵本の魅力ってのは、何気ない一言が自分に突き刺さったりする、その瞬間なのじゃないかな。いつのまにか自分は大人になってる。子供の目から見たら、批判されるべきものとなっている、そのことを、子供の目から確認できる、そういう魅力が童話や絵本にはあるのかもしれない。もちろん、俺は子供や大人という見方がすごく嫌い。大人>子供というのはおかしな在り方だし、大人=子供+社会常識というのも、何かしら違う気がする。大人だって駄々をこねるし、甘えもする。だから、そういう意味では大人とは世渡りのうまくなった子供とも言えるし、けれど、もしそのときにその大人が子供の時に持っていた何かを失っていたとしたら、そこには大人=子供+社会常識とはなりえないはずである。つまり、大人=子供+社会常識-喪われた何か、となるはずである。では、子供に戻りたければどうすればいいのか?大人が社会常識にとらわれないようになり、さらに、失われた何かを取り戻す必要がある、さて、ここで使えるものは何だろう?答えは、そう、その答えが、「童話」であり「絵本」であるのかもしれない。そして、このときに「教訓性」の強いものは-にしかならない。だから、教訓的な童話や絵本はつまらないと言えるのではないかな?

さて、この家に飛んで帰る、という物語。決して嫌いではない。ブラジルでとらえられ、ニューヨークで二年間も籠の中で暮らしてきた鳥は、故郷へと帰るために籠が開け放された隙に逃げ出してしまう。彼は大西洋やペルーをとおって、ブラジルへと至る。開発で彼の家はなくなっていたが、近くでようやく彼の家族を発見する、というストーリー。俺だったら、もう少し詩的に仕上げるかな、と感じる作品。
「君は誰なの?」
「僕はブラジルで生まれた鳥さ」
「どうして、君は自分が鳥だと知ってるの?」
「鳥から生まれたら鳥なんて誰が決めたんだろうね」
とか、
嵐にのまれそうになって、海に語りかけるとかね。
「もう少し、落ち着いてくれませんか?」
「それが、無理なのだ。私はどうしても怒りっぽくてね。この怒りを洗い流すにはどうしても徹底的に暴れなければならない」
みたいなさ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 洋書(英語)
感想投稿日 : 2012年7月13日
読了日 : 2012年7月13日
本棚登録日 : 2012年7月13日

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