とりあえず、ウィキペディアで経歴を見てみると、
それだけでなんだかすごかった。
学生結婚、行き当たりばったりの暮らし、そこから、一山当てる。
酒への依存、躁うつ病、に加えて、麻薬。
出身は灘高。なんだか、すごいね。
しかし、躁鬱病。
躁はほとんど続かず、鬱が数ヶ月続くというのは生々しい。
おまけにギャグ。ギャグっていうのは、冷静になると、
すごくつまんなく思えたりするので、それを書くだけで、
精神状態は酷く不安定になる。
だから、お笑い芸人だとかギャグ漫画家などに向いてるのは、
たぶん本質的には考えなしだとか、天然なひと。
けれどそういうひとの考えるものっているのは、
こう捻りにかける。捻りをつくれるひとは、たぶんむしろ、
かなりナイーヴなひと。
それだけにギャグってものがある意味で破滅的だ。
灘中、灘高と優等生から滑り落ちていくという過程。
最初の頃は羽目を外した優等生だったのが、
いつからか、劣等生になる。そんな区分は嫌いだし、
このひともきっと嫌いなのだろうけれど、
そうやって自分を縛ることから逃れられずに苦しみ続ける。
なににも縛られずに奔放そうに生きてるひとに限って、
実は自分のことを酷く縛り付けてる場合があって、
それであたかも奔放そうに笑い続けていることがある。
その裏にある苦悩は推し量れるようなものじゃない。
けれど、このひとには芯のようなものが通っている。
いつだって、確信があったのだろう。
自分はやらかせるという確信。
そして、奥さんがいたわけである。
うらやましい限りだ。
側に苦楽を共にできるひとがいてくれるという幸せ。
悲観的な人間が楽観的を装った結果の悲惨なる結末が、
彼なのだろうけれど、けれど、きっと彼は幸せだったはずだ。
じゃあ、いいじゃないかって思う。
じゃあ、いいじゃないですか、中島らもさん。
- 感想投稿日 : 2011年4月21日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年4月21日
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