蛍,常夏,篝火,野分,行幸,藤袴,真木柱,梅枝,藤裏葉の9帖が収録.頭中将と夕顔との間の娘,玉鬘を巡る物語がメインだが,平安の世における女性観が描かれた,読み応えのある巻(できれば第22帖玉鬘から第31帖真木柱までの玉鬘十帖を1冊にしたいところ).軽んじられる平安女性の意思にもめげず,玉鬘は不本意な結婚の末,宮中官僚として仕事を持ち,よい家庭人として生を全うする.現代にも通じる死生観が,苦労人である玉鬘を通じて描かれている点が興味深い.紫式部が彼女に“玉鬘”の名を冠した意図に深く首肯する.
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- 感想投稿日 : 2024年3月26日
- 読了日 : 2024年3月26日
- 本棚登録日 : 2024年3月26日
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