もっと純粋な恋愛物語を期待して読みましたが、全くの畑違いもいいところ。
久しぶりに残念な本を読んだ感じです。
アルツハイマーと引きこもり。現代社会が抱える問題がある種のテーマというか内題です。
人間関係を上手に構築できずに社会人となってすぐ会社を辞め引きこもりとなった青年・白木悟史が、
偶然出会ったアルツハイマーの老人・源一郎の、
過去に好きだった最愛の女性を探す願いをかなえる物語です。
案外すんなりお相手を見つけてしまったり(すでに亡くなっていた。)、
でも別人になりすまして生きていて、最後にめでたく再会をはたしたり、
白木青年って引きこもりのくせに、結構な行動派なのね。
もっと引きこもりって複雑な内情や精神的な問題等で、
安易な外出も自発的な行動も抑制されているものだと考えていたので、
ちょっとリアリティに欠けるかなと思いました。
アルツハイマーもそう。都合のいい時だけ記憶がしっかりしている話の展開にはがっかりです。
父親がね、これまた微妙な立ち位置なんです。エリートサラリーマンが自分の栄転を断り、
引きこもりの息子のために左遷されるっていかにもじゃない。
おいおい・・・だったら不倫なんてしないで、仕事にばかり生きないで、
もっと初めから息子を家庭を顧みなよ!って説教したい気分。
全体的に単調な、久しぶりに空振り三振小説でした。
★☆☆☆
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
単行本
- 感想投稿日 : 2011年5月26日
- 読了日 : 2011年5月2日
- 本棚登録日 : 2011年5月2日
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