99・9%が誤用の抗生物質 医者も知らないホントの話 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2013年8月9日発売)
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感想 : 32
5

抗生物質に関する書。
医療における抗生物質使用の現状と、あるべき姿について、歯に衣を着せぬ(そしてかなりコミカルな)語り口で説明しておられて、楽しく学ぶことができた。
理学療法士の僕としては、薬剤に関わる知識に乏しくこんがらがるところと、理解の足りないところが多かったのだけども、かなり柔らかい説明だったと思う。

著者の哲学における造詣も深く、勉強になった。
書中に多数ある引用については、それぞれモトとなった論文や情報を文章中に掲載しておられるので、嬉しい。

著者は島根県出身(島根医科大学卒業)と言うことで、島根の病院に勤める僕としては、勝手に親近感を抱くことができた。
抗生物質(だけ)に留まらず、医療のあるべき姿について熱く語っておられて、刺激を受けた。
もっと勉強したいとおもって、この方の本を検索したら、かなりの量だったのでビックリした。
でも、楽しそうなので、また読んでみたいと思う。

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【内容(「BOOK」データベースより)】
抗生物質は多くの国で間違った使い方をされているが、日本においてその間違い方は顕著であり、ほとんどが誤用である。必要のない症状に漫然と処方されているために、耐性菌が増え、抗生物質を治療の切り札とする、命を奪う肺炎や、急性喉頭蓋炎、髄膜炎などの感染症治療の際に使用できず、患者(子どもを含む)が亡くなるようなことも起きている。また心臓への副作用などリスクも報告されているが、知らない医者・患者も多い。「よくなってほしい」「誤診が怖い」と、つい足し算の医療をしてしまう医師、そして医師まかせにして病院ブランドや薬にしがみつく患者の双方の態度に警鐘を鳴らしつつ、「微妙な状態をビクビクしながら待ち、時間を活用しながら薬が必要かを判断する」という、臨床医学のよりリッチな世界観へと読者を導く。医者と患者と薬、その関係を問い直す一冊。
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著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
岩田/健太郎
1971年島根県生まれ。神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学都市安全研究センター教授。1997年島根医科大学(現・島根大学)卒業。沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科などで研修後、中国で医師として働く。NYで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時の臨床を経験。2004年帰国し、亀田総合病院(千葉県)に勤務。感染症内科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任し、現職
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【目次】
はじめに
第1章 かぜに抗生物質は必要ない
第2章 21世紀の感染症の世界
第3章 「診断」という知的営為――臨床医、リッチな世界観を持つべし
第4章 臨床をなめんなよ――現場の医療レベルが上がらない、その理由
第5章 経口三世代セファロスポリンは、99・9%が誤用
第6章 日本感染症界の「黒歴史」
第7章 もっと「感染症のプロ」を――日本の感染症専門医、その信頼性について
最終章 さらば、「足し算」の医療――ポリファーマシー(多薬剤処方)の問題
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年4月18日
読了日 : 2014年4月17日
本棚登録日 : 2014年4月17日

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