ストーナー

  • 作品社 (2014年9月28日発売)
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この世の中に「何の変哲もない人生」などというものはない。

この物語はミズーリ大学助教授として人生を全うしたウイリアム・ストーナーの人生を彼の誕生から臨終までを記した小説である。

田舎の百姓の一人息子として生まれ、両親の苦労のおかげで大学へいくことを許された。
大学で農業を学ぶはずであったストーナーであったが、英文学の面白さに魅せられ、大学を卒業後も大学院に残り、英文学を研究することを選んだ。
若き文学研究者として生きるストーナー。

同じ研究者である友人たちとの交流。
のちに彼の妻となる美しい娘との恋。
第一次世界大戦で友人の一人を失う悲劇。
結婚後、精神を病んでいく妻との確執と娘の誕生。
ライバル教員との対立。
娘の教育を巡っての妻とのいさかい。
新しい恋と別離。
文学への愛を確認する日々。
そして病との闘い。

この小説を通じて、読者はストーナーの人生を完全に追体験していく。

彼の人生はヒーローものというにはほど遠く、むしろ満ちたりたというものではなかったかもしれない。

しかし、成功に満ちた人生などこの世界にあるのだろうか?

そんな疑問を本書を読んだすべての読者は感じるはずだ。
全篇美しい翻訳文をとおして、ストーナーの人生の悲哀が語られていく。しかし、そこには人生のきらめきがそこかしこに秘められている。

人生は捨てたものじゃない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(純文学)
感想投稿日 : 2020年9月19日
読了日 : 2020年9月12日
本棚登録日 : 2020年9月19日

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