次第に舞台は戦争に向けて加速していき、トザや彼を取り巻く人々らの生活も急激に変化してゆく。
トザの開発する無線も新たな活躍の場を見つけながら、更なる技術の高みを追い求める足も止まることはない。
この作品の登場人物は、皆が皆途方もなく孤独である。
ある者は、自分の知能を世に知らしめるべく、家族や愛情を捨て、ある者は御国の為に、或いは自身の信じる志の為に友人を捨てる。
共通しているのは、「自分はここにいるのだ」という世間に認めて欲しい気持ちで、行動を通して叫べば叫ぶほどに、虚しさと悲しさを撒き散らしていくのである。
大正から昭和にかけて生きた男達の物語だが、現代の世にも通じる内容だと感じた。
人が生きる上での幸福に関して、改めて考えさせられる作品。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年11月8日
- 読了日 : 2019年10月29日
- 本棚登録日 : 2019年11月8日
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