小さな建築 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2013年1月23日発売)
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通常の建築はラーメン構造なり壁構造なり、依存されるモジュールと依存するモジュールからなる。リスボン地震以来、災害に遭うたびに人類は自然に負けない強い建築を作るべく「大きな建築」を作ってきた。それは依存されるモジュールの強度を高めるものであった。

この本で隈氏が提唱しているのは、殆ど単一のユニットからなる建築で、つまりモジュール同士が依存する/されるの構造を持っているのではなく、共依存する関係である。4つの章のうちでは「織る」がもっとも分かりやすいであろう。縦糸と横糸が互いに折り重なることで強度を生じさせている。これを3軸、4軸にすることで3次元に応用し、パビリオンだけではなく太宰府前のスターバックスのようなパーマネント建築を実現している。

思想としては、共依存する構造というのは民主主義らしさを表現している。また、モジュールから構成され、またモジュールに分解できる可塑性は、柔をもって剛を制すアプローチであり、坂茂氏の一連の紙管の仕事とともに21世紀の建築構造として興味深い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般書
感想投稿日 : 2015年4月19日
読了日 : 2015年4月19日
本棚登録日 : 2015年4月19日

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