辞書にドラマがある。
そんなことは考えたこともなかった。
三省堂の国語辞典である『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』。同じ辞書を作っていた見坊豪紀と山田忠雄。その決別の謎を追う…というのがストーリーだが、そもそも辞書を作る過程に物語があるなんてこと自体が驚きである。
いや、想像力の欠如だろう。
辞書は天賦のもので、絶対普遍なものだという「常識」。そんな常識はそもそも存在しないのだ。
辞書にも個性がある。それは「新明解」が示すもの。しかし、その個性の裏には人生があったのだ。
「ことば」による誤解が軋轢を生み、物語を変えた。
全く「ことば」は完全な普遍的なものではない。
それを「ことば」を集めて意味をまとめた編纂者が人生で体現していたのだ。鳥肌が立つ。
ミステリーとしてもドキュメンタリーとしても読めるが、それ以上に人生の啓発としても見方を変えてくれるほど、素晴らしい場所に光を与えてくれた作品だ。
この作品のきっかけになったNHKのノンフィクションも是非見てみたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年6月17日
- 読了日 : 2014年6月17日
- 本棚登録日 : 2014年6月3日
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