21世紀も間近になった頃に大学入学、研究を本格的にはじめたのは2000年代後半というな私は、日々「なんでこんなことになっちゃってるの!?」と叫びたくなるような哲学・思想(と社会との関係)に関する問題にぶちあたることが多かった。――たとえば、「どうして浅間山荘に閉じこもった連合赤軍は仲間同士で殺し合ったのか?」とか「なんで『総括』という言葉がリンチを指すようになったのか?」とか、「なんでこんなに現代思想は、ライトなノリで明るくたのしく語らなくちゃいけない感じになっちゃったのか?」とか。
本書は、そうして日々ぶつかりながらも、その答えを見出す術同市もなく、喉にささった魚の小骨のようになってしまった問題たちを、一気に溶かしてくれた感じがする。
私と同世代の、研究者の卵たちは、いろいろな現代思想の本を読み、それを吸収して、自分の研究にいかしながらも、それらの思想の位置づけなどを把握するのにものすごく苦労しているんじゃないかと思う。私自身もまさにそんな最中にある。そういう「地図」も持たずひとりさまよい歩き続けてきた私にとってはとてもありがたい本だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
思想・哲学
- 感想投稿日 : 2012年7月19日
- 読了日 : 2012年7月19日
- 本棚登録日 : 2012年7月19日
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