犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (1972年6月12日発売)
3.91
  • (371)
  • (437)
  • (436)
  • (20)
  • (2)
本棚登録 : 3584
感想 : 325

【概要】
 倒錯と純愛の錯綜!かけ違ったボタンと、ねじ曲がった愛は、信州財界の巨人・犬神佐兵衛没後、その遺産の行く末に、大きく影を落とすのだった。犬神佐兵衛の血脈である佐清(すけきよ)・佐武(すけたけ)・佐智(すけとも)、恩人の孫・珠世(たまよ)、さらには本気となった愛人の息子、巨額の遺産・経営権を巡り、血で血を洗う争いが、犬神家の三種の神器「斧(よき)・琴(こと)・菊(きく)」を通じ、勃発する。名探偵・金田一耕助は、この陰惨な連続殺人事件を、どのように解決するのか?!

時期不明        読了
2018年10月27日 読了
【書評】
 喜餅の思春期は、江戸川乱歩と横溝正史でできあがっている・・・といっても過言ではない(笑)特に横溝正史の影響は、ほんと・・・デカい(笑)人と人との愛憎に対し、良くいえば、横溝正史のおかげで「寛容」になり、悪くいえば横溝正史のおかげで「欠如」しているという(笑)
 ただ、自己正当化する訳じゃないけれど、作中の「倒錯」「圧倒的にいびつな倫理観」の裏側にある人間の感情の弱さであり純粋さ・・・そういった、ふれたら簡単に壊れてしまうような、繊細な機微・・・を、物凄く、感じるし、物凄く、楽しめてしまった、今回。
 自分も含めて、多くの方達は「スケキヨ(なんでカタカナなんだ?笑)」のイメージが、めっちゃ強いと思う、この作品は。でも実は、冒頭に舞台から(物理的には)消える犬神佐兵衛や、その恩人・野々宮大弐の残留思念の存在感が、凄い。そして、子を想う(想いすぎる)母の人外ぶりも(笑)
 時代背景は昭和20年代、当然、その時代の価値観が、前提として進行する。当たり前だけど、現代と違う。だから「それはそれ」として、楽しめる度量が必要になるよね。久々に読むと、当時は凄い時代だったんだなぁ~と、あらためて、思う。
 ところで、皆さんは、「金田一耕助」といえば、誰を連想する?自分はこの「犬神家の一族」で演じられた石坂浩二さんもイイけど、古谷一行さんもイイよね♪そして、この頃・・・というか、市川崑監督は、影で怖がらせるの、本当に凄いよねぇ。・・・って、映画の話になってしまった(笑)
 久々に読むと、楽しい♪

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス・ミステリー
感想投稿日 : 2018年10月27日
読了日 : 2018年10月27日
本棚登録日 : 2018年10月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする