ワーカーズ・ダイジェスト

著者 :
  • 集英社 (2011年3月25日発売)
3.33
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本棚登録 : 1359
感想 : 251
4

32歳の男女を描く、「ワーカーズ・ダイジェスト」と、短篇「オノウエさんの不在」の二本立て作品。

ネットでレビューを先に少し読んで、(自分も年齢が近いこともあり)気になって手に取りました。

感想としては、
・関西が舞台(関西弁も登場し、地元民には分かる世界観が展開されている感じ)
・メインの登場人物がともに32歳、独身、佐藤という名
・とくに仕掛けや繋がるところなどはない
・連続ドラマみたいなほのぼの感
といった感じでした。

「最終的に二人の佐藤さんがどうなるのか?」という観点では、ほのぼのしたり同調したりしながら見守っていて面白かったですが、私はSFやミステリを読むことが好きだからなのか、
「なぜ重信はゴミ屋敷寸前の部屋に住んでいたのか?」「千珠香が助手をしている大御所とは」
「冨田さんのその後は?」
「湯川さなみと夫の関係って……?」
と、疑問に思うところが多々あって、しかもそれらは全く本筋には関係なく流れていってしまう(結局どうなのかはわからない)というところにもどかしさを感じました。
提示される「?」に応えの示されない小説というものもあるんだな、と勉強になりました(笑)

「オノウエさんの不在」に関しては、こういうことが、世の中では珍しくないし、会社を支えた人であっても、会社(という組織)にとっては一つの駒にすぎない、という印象を受けました(もちろん、オノウエさんの意向かもしれませんが……)。

本文には関係ないことですが、表紙絵が持ち歩いたりカバー掛けずに持っていると気まずい(?)感じで、私は好きではなかったです。

「そうそう、こういう人いる!」「大阪駅ってこういう感じだよねー」(自分も同じ年代)という感じで共感できる方には、面白い作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: レビュー済
感想投稿日 : 2023年11月1日
読了日 : 2023年11月1日
本棚登録日 : 2023年10月26日

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