誉田さんの書く本ってすごいな、と思う。
ストロベリーナイトで誉田さんを知ったんだが、ストロベリーナイトはあんなにグロい描写もあって、事件もシリアスなのに、この「幸せの条件」や「世界でいちばん長い写真」は前向きな青春っぽい小説になっている。
今回の「幸せの条件」は、片山製作所で働く梢恵が役立たずOLで、恋愛もうまくいってない。そのうえ、長野へ農業の修行に行かされるという話。梢恵はぐちぐち悩むのに、自分では竹を割ったような性格だと思い込んでるし、会社から必要とされていないと気づいているのに、どうしても言い訳しかでてこない。でもどこか自分の言動を映し出しているように思えてきて、読んでいてちょっと恥ずかしくなる。ただ、東日本大震災と農業、そして農業の「あぐもぐ」の人々とのかかわりあいで、少しずつ変わっていく梢恵はどんどん眩しく感じる。
自分が必要とされているかどうか、ではなく、自分が必要としているかどうか。楽しく仕事できるって視点を変えられるかどうか、なのかも。
読んでよかったな、と思った本。
読書状況:読み終わった
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■小説
- 感想投稿日 : 2019年10月7日
- 読了日 : 2019年10月4日
- 本棚登録日 : 2019年8月19日
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