風神秘抄の続きを頼朝視点で描いた物語。なのだけれど、本書の表紙にもそでにも扉部分にもそれが明記されていないのは不親切だなあと思った。前作を読まなくても楽しめるといえば楽しめるけど、草十郎や糸世、万寿姫関連のことが???となると思う。
物語自体はさすが荻原規子さん、和風ファンタジーを書かせれば右に出るものはいないなあという感じ。季節の草花とかの描写がいちいちちゃんとあるせいか、和風ファンタジーの空気感づくりが素晴らしい。ところどころで挟まれる今様もいい雰囲気出してる。空色勾玉時代からそうですが、古歌を上手く使う作者さんです。
荻原さん作品には珍しく、主人公は恋愛しません。なのでそういう要素を求める人にとっては物足りないかも。草十郎と糸世のいちゃいちゃはちゃんとありますが、ここを楽しめるのも前作ありきだと…うん、やっぱり表紙に風神秘抄の続きだって書くべきだ。
あとがきを読むと、著者の入念な下調べのもとにこの物語が作られたことがわかる。実際にその土地で伝わる言い伝えや様々な説を土台にしているから、しっかりした骨太ファンタジーが書けるんだなあとつくづく思った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ファンタジー
- 感想投稿日 : 2018年9月9日
- 読了日 : 2018年8月31日
- 本棚登録日 : 2018年9月9日
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