カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年7月28日発売)
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本棚登録 : 902
感想 : 80
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中島先生は生の無意味さと死の避けられなさに怯えと焦りを隠さない。本書でもそれは徹底的に踏襲されており、読む者の共感を呼ぶとともに深い絶望へと誘う。
一方で永井均は対照的に「存在の祝祭」、つまり長い歴史のなかで己が現在の社会に存在することの驚きを表明する。自己という存在の奇跡を高らかにうたいあげる。同じ現象がこれほど正反対に評価されるものなのかとしみじみ思う。
対照をなす二論のうち、中島先生はどうしても険しい方を選ばざるを得なかった。あえて苦しい道に進まざるを得なかった。それは自分には、あえて弱さを選択するという強さのように見える。気のせいだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年4月11日
読了日 : 2019年3月15日
本棚登録日 : 2019年3月15日

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