定家明月記私抄 (ちくま学芸文庫 ホ 3-2)

著者 :
  • 筑摩書房 (1996年6月10日発売)
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感想 : 21
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定家と堀田のズレが気になる。紅旗征戎非吾事と定家は述べるが、どれほど実際にせまっていたのだろうか。承久の乱ののちの言だとすれば、尚更である。定家は関係性の網目の中にいたはずである。紅旗も征戎も定家にとって吾が事であるはずである。後鳥羽院も院近臣も身近な存在である。単に戦乱の影響を最小限に通り過ぎてきたに過ぎない。
堀田は戦時中に明月記と出会い、紅旗征戎非吾事の屹立に感銘を受けた。現実とのギャップに苦悩した。しかし、紅旗征戎非吾事は定家にとってすら、希望であったのではないかと思えてならない。紅旗征戎非吾事という理想を巡って定家と堀田が二方向から視線をむけている。決して二人は視線を向ける向けられるの関係ではかい。だからズレが気になるのだ。

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感想投稿日 : 2020年7月1日
読了日 : 2020年7月1日
本棚登録日 : 2020年7月1日

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