クマのプーさん (岩波少年文庫 8)

  • 岩波書店 (2000年6月16日発売)
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感想 : 171
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«小さな子どもから見える、優しくて賑やかな世界»
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クマのプーさんは小さい頃ディズニー版のアニメを見たことはあったのですが、原作は読んだことが無かったので気になって手に取ってみました。

アニメ版では前置きもなく最初から「百エーカーの森」が舞台となっていた気がしますが、これがA.Aミルン氏が息子クリストファー・ロビンととそのクマの友達のために考えた想像の世界の話だよということになると、彼がいかに息子を大切に思っていたかがひしひしと伝わってきて、目頭が熱くなりました。
現代で言うなら、子どもとニチアサの特撮やアニメを見て、一緒に戦隊ごっこやプ○キ○アごっこをしてくれるお父さんといったところでしょうか。

第三者の目線で読んでも、クリストファー・ロビンやプーさんとその仲間たちの少しズレた行動ややり取りが微笑ましいお話なのですが、そのお父さんの目線で読むと、息子へ優しい世界を見せてあげようとする気持ちが伝わってきて温かい気持ちになれるので、一読で二度幸せなお話だと思います。

【おまけ:書くか迷って、やはりここに残しておきたくなった話】
お読みになった方は、最後の9話と10話以外ではプーさんがとかく頭の悪いキャラクターとして描かれる一方、クリストファー・ロビンがやたらと賢くて気も遣える子としてもてはやされる状況にモヤッとした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、自分の息子が主人公のお話なので、彼が冷遇される話は決して作らないと思うのですが、もうひとつ。

読んでいる途中で英文学を研究されているある方のお話を思い出したのですが、どうやらこの時代、欧州の人々の間には白人優生思想や人間中心主義といった
「人間(特に白人)が一番優れているんだから、他の人種や他の動植物は自分達に管理されるのが良いことで、幸せなことだよね」という考えが根付いていたらしいのです。現代でも少し似たような考え方はあるので※1 ミルン氏やロビン君は温かく真っ直ぐな人だったんじゃないかなと思いますが、
そういった考え方が透けて見えてしまった点では、アニメ版の方が純粋に見られて良かったかなと思います。

※1 Wikipediaや他SNSで何人かの方が指摘されているように(下記参照)、ライトノベルでは異世界転移・転生するとだいたい現代思想と現代文明最高ってなるよね、というのと同じだと思います。

疑問例は以下参照

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12239604532?__ysp=55Ww5LiW55WM6Lui55SfIOePvuS7o%2BaWh%2BaYjg%3D%3D

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月12日
読了日 : 2024年2月12日
本棚登録日 : 2023年3月17日

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