星に願いを、月に祈りを

著者 :
  • 小学館 (2012年3月28日発売)
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本棚登録 : 959
感想 : 138
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【私達は偶然の生に自分で意味づけをし、人と交わりながらやがて大切なものや生きる意味を見つけていく】
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小学生の夏、宿泊体験の夜に宿を抜け出し、蛍を見に行った大介・麻里・アキオ。
迷子になった真夜中の森で不思議なラジオ番組「星空レディオ・ショー」を聞いて…?

自然の音、部活の掛け声等臨場感をある音に、紡がれる星や宇宙の話、うさぎとカラスの物語といった神秘的な話が混ざりたい、物語全体としてとても不思議な雰囲気を纏っていました。
メビウスの輪の話など、数学的、哲学的な話があちこちに星のようにちりばめられていて、非日常な空間に身を置かなくても、考え方ひとつで世界はとても不思議な場所に変わるのが面白いなと思いました。

また、特に好きなのが星空の描写。
同じ中村先生のBang Dream!では、主人公の香澄は幼い頃星を見た体験を「星の鼓動を聞いた」と生き物のように表現しているのですが、今作では哲学的に、星や宇宙を自分の認識している「世界」の一部として捉えており、中村先生の描写・捉え方ののバリエーションに舌を巻くと共に、一人一人それぞれに星の解釈って変わるんだなと思わされました。
反対にどちらの作品も音楽や歌詞が多様されているところ、「聞こえる?」という言葉で誰かに語りかけているところは、中村先生の作風スタイルや思いを伝えることへの信念が見えて、やっぱり好きだなあと思いました。

皆さんの夜空にも、優しい星が流れますように。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月19日
読了日 : 2023年8月19日
本棚登録日 : 2023年3月17日

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