高丘親王航海記 IV (ビームコミックス)

  • KADOKAWA (2021年10月12日発売)
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本棚登録 : 98
感想 : 9
5

澁澤の真髄は「少女コレクション序説」だと思うので、遺作を持ち上げる勢に与したくないと思っていた。
が、この漫画を読んでしまったら、屈せざるを得ない。
喉に死の真珠。
そうれ、天竺までとんでゆけ。
壮年が思い出す、少年期の追憶の、反響、反響、反響、反響で今の壮年期は成っている。
郷愁が現実認識の土台になるとき、人の認識は一段死に近くなる。
その遊離具合が本作のステキさ。
と漫画を読んで気づいた。

帯取っ払って、カバーをはがして広げてみたら、親王、薬子、少年、飲まんとする真珠、そうれ天竺まで飛んでゆけ、蓮の花、虎、脚、図像的な雲、山。
ピンクに浸されたシンプルなカバーなのに、精選された情報で満たされていて、これは描いた人も装丁した人も素晴らしいと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2021年12月25日
読了日 : 2021年12月25日
本棚登録日 : 2021年12月17日

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