思いつきで世界は進む (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2019年2月6日発売)
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本棚登録 : 353
感想 : 31
5

○○ロスという言葉がありますが、
以前は、何が○○ロスだよと、引き気味の視点で見ていました。
ただ、ふと、ああ、もうこの世界に橋本治っていないんだな、、、と思うと、寂しくなりました。

この本は、橋本治氏のweb連載の時評ですが、もう二度と、新たに更新されないんだなと思うと、
残念でなりません。

橋本治氏の著作は、毒にも薬にもならないものがたくさんありますが、
語り口が、とにかく愛を感じさせるんですよね。
どうして、ここまで、人間のこと、社会のことを、説明できるんだろうと、、、、。
その説明が、なんというか、カラダ全体で考えているんだろうな、何か、大きなものを、
背負って説明しているんだろうなと(本人は、無責任に言っている、なんて、言ってましたが、
そう思えないんですよね)。こういう温かさを感じさせる作家も、人間も、絶滅していますよね。
本当に、稀有な人でした。

どうでもいいことを、考える大切さって、この人から教わった気がします。
そのどうでもいいことが、案外、後で、凄く役立つことも。

『これも男の生きる道』は、一番好きな本で、
「わからない、知らない、できないを自分の中で認めないと、
永久に一人前になれないよ」は、自分の座右の銘になっています。

本当に素晴らしい作家でした。
素晴らしい作品をありがとうございました。
15年以上前に、橋本治氏の著作に出会って良かったと、心から思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月2日
読了日 : 2019年12月2日
本棚登録日 : 2019年2月23日

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コメント 3件

chineseplumさんのコメント
2020/10/20

同感します!
愛、ですね
『これも男の生きる道』、読んでみます
私は『98歳になった私』も好きです
まあまあ、今日もやっているなあ、という気分になります

K - Shibuiさんのコメント
2020/10/20

コメントありがとうございます!私も『98歳になった私』を手にとってみます。なんせ、橋本氏の著作は、膨大にあるので、今、平家物語を読んでますが、いったい同じ作家さんが書いたものかと思うぐらい違いますから。。。本当に稀有な作家さんでした。。。

chineseplumさんのコメント
2020/10/20

はい!

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