戦国時代もいよいよ終幕、天下泰平の徳川家康に焦点を当てる。魑魅魍魎の乱世を巧みに生き残り、権謀術数を尽くして75歳で天寿を全うした家康は、戦国時代の締めにふさわしい人物ともいえる。
学校では無味無臭な日本史が、歴史好きな筆者にかかるだけでこれほど人間関係に溢れた躍動感ある物語に思えることに毎度驚かされる。のちの明治維新につながるさ薩長の外様大名としての怨念は生きた歴史を感じさせられ、ちょっとした感動を覚える。
中身はとても面白く勉強にもなるのだが、「史料はない/史料はこうでも常識で考えればこうだ。だからこれで間違いないはずだ」という論法が多々展開されており、著者が度々批判する史料絶対主義の学者より性質が悪いケースが散見される。史料が不足している時代検証では成り立つ論法でも、多面的な一級史料が豊富な時代では、根拠に欠けると言わざるをえないだろう。その点は大きくマイナス。
第1章 徳川幕府の成立1 序章としての関ヶ原編
第2章 徳川幕府の成立2 泰平への長い道編
第3章 徳川幕府の成立3 天下泰平の構築編
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2014年5月14日
- 読了日 : 2014年5月16日
- 本棚登録日 : 2013年9月5日
みんなの感想をみる