プチ・プロフェスール

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年9月10日発売)
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本棚登録 : 286
感想 : 72
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表紙を描いているのが『日常』のあらゐけいいちさんなので、「シュールな話なんだろうか?」と妙な偏見を持って読んでみたら、実にカガク的でかわいらしいミステリーでした(笑)

「リケジョ」を目指す小学生・理緒と、その家庭教師の理系大学院生・律が身の回りで起こる事件をカガク的に分析するミステリー。
5話収録されてますが、どの話も様々な分野の科学知識(コペンハーゲン解釈や脳科学や天文学などなど)が絡んでいるのが興味深かったです。
律の「科学っていうのは、態度のことなんだよ!」というセリフがとても印象的でした。

内容も魅力的ですが、登場人物たちも素敵!
理緒は素直でかわいらしい女の子で、律はクールだけど面倒見の良いお姉さん。
基本的に理緒が「事件」に首を突っ込み、律が理緒の言動にヒントを得ながら謎を解くという構造。この2人すごく相性ばっちりなので、今後シリーズ化してくれないかな、とひそかに期待してみたり。
あと、理緒の家に雇われてるベンツ運転手の恵人も、いざというとき行動力があってすごくいいキャラしてると思います。
最初はツンツンしててどこか頑なな印象の強かった律が、理緒たちとふれあううちに少しずつ変わっていくところも良かったです。

カガク的といっても論理的な話ばかりではなく、律と恵人のほのかな恋模様があったり、ロマンを感じる話もあったり、となかなか上手いバランス感覚で描かれているな、と感じました。
物語全体を通してほっこり幸せな気分になれるミステリーだったと思います。

作者の前作『お台場アイランドベイビー』よりこういうテイストの話のほうが読みやすくて好みです。
またこういう作品を書いてほしいな、と次回作に期待。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年3月22日
読了日 : 2012年3月20日
本棚登録日 : 2012年3月22日

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