三味線の師弟の究極の愛。春琴は三味線で高名な先生だが、幼い頃から美しく、しかしながら盲目で、丁稚の佐助に身の回りの世話をしてもらってきた。この佐助は幼い春琴の三味線の稽古を盗み聞きしては、夜な夜な雑魚寝部屋で三味線の練習をし、やがて周囲にも認められる腕前になる。佐助は丁稚の仕事をお役御免され、晴れて4歳年下の春琴に弟子入りする形で、彼女に奉仕することを許される。
佐助にとっては春琴は師弟関係を超えた究極の崇拝対象であって、彼にとって春琴に取って代われるものはない。その佐助の姿勢が春琴の嗜虐性を助長し、彼女は殴る蹴る打つのが当たり前になる。佐助のマゾヒズムと献身は生涯続き、彼は春琴の美を夢想し続ける。純愛を通り越しているというか、最後は被虐性愛をも超えて、春琴と佐助は真実の愛で一体になったように思える。これも愛のひとつの形かと思った。
これを海外文学で置き換えるとピアノとかギターの師弟関係みたいになるんだろうか。そんなものがあったら、それもなんだか洒落ていて面白そうだ。読んで思ったのは僕は佐助のように生きるのは無理そうだ、ということ。笑
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
国内小説
- 感想投稿日 : 2020年8月28日
- 読了日 : 2020年8月28日
- 本棚登録日 : 2020年8月28日
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