初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-6 スペンサー・シリーズ)

  • 早川書房 (1988年4月1日発売)
4.04
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本棚登録 : 821
感想 : 90

漢字二文字だけれど、
ディック・フランシスさんの作品ではないよ。

こちらは、いつものミステリ指南本で第28位。

新しい探偵像をうちだして、
日本でも人気となったとあり、ふと読んでみた次第じゃが。

アメリカでは私立探偵は州レベルの公的資格制度があるのだね。
マーロウ君もカードをよく見せたりしていたから
なんだろう?と思ってちょいと調べました。

さて、今回の作品、私立探偵であるスペンサーは
依頼先で出会った少年に心を惹かれる。

気持ちをかえりみられることなく、
親同士の駆け引きの材料に使われる少年ポール。

ひ弱な風貌で、自分の意見を持つことをやめてしまった彼の
「自立」を手助けしようと決めたスペンサーは…。

このスペンサーと言う人が、いきなり饒舌で、
なんだかチャラチャラしているというか、フーム…。

自分がモテる、と言って実際モテてるみたい、
でも一々鼻につくんだなー。

早く、急いで、スペンサーに何か言われる前に
私から先に!
「あなた、私のタイプじゃないから!」と、告げたい。
(悲しき防衛…?)

一緒に大工仕事をしたり(ログハウスめいたもの?を建てる)、
ボクシングを教えたり、美味しいものをごちそうしたり、
そこいらへんは昔の青春ドラマ調で
やや暑苦しい感じだけど、ま、よいや。

ポールを守るため、あることを閃いたスペンサーは…
結局、最終的に力技と言うか腕ずくと言うか…
ハッピーエンドと言って、良いのかな。

うーん、そんなに大がかりな事件でもないし、
トリックがあるとかそういうのじゃないし、
重きを置かれているのはスペンサーと少年の心の交流。
こういうハードボイルドもあるのですね。

スペンサーのことはあんまり気に入らなかったけど!(鼻息!)
ポールは頑張ったし、彼女のスーザンも魅力的だから、
もしかして、違う作品をみかけたら、
(シリーズでポールが準主役になっているらしい)
また、読むかもしれませぬ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ハードボイルド
感想投稿日 : 2013年11月4日
読了日 : 2013年11月4日
本棚登録日 : 2013年11月4日

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コメント 2件

円軌道の外さんのコメント
2014/01/13


改めて、明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします(^o^)

「つむじ風食堂と僕」にコメントありがとうございました。
返事書いているのでまた読んでみてくださいね。


で、この「初秋」、
めちゃくちゃハマった小説なので懐かしいし、
ネオ・ハードボイルドと呼ばれて
当時は男がハマる傑作でした。

個人的にはスペンサーシリーズは
いかにもアメリカンなキャラの主人公が好きになれなかったけど(笑)、
この作品はスペンサーよりも
少年の自立を描いているので異色だったし、
学生だった自分はすごく共感したんですよね。

確かこの少年のその後を描いた続編も出てたと思います。


この手のネオ・ハードボイルド小説なら、
ジェイムズ・クラムリーの
「酔いどれの誇り」と 「さらば甘き口づけ」は
詩情溢れる傑作なので、
本当にオススメですよ(^^)




日曜日さんのコメント
2014/01/14

円軌道の外様、こんばんは~、お返事も読みました!どうもありがとうございます。

そうです、そうです、「いかにもアメリカンな」の表現、言い得て妙、ですねえ! なんと言うか、タフなチャラ男みたいな、そんなことですね。

後編もいつか読みたいです。

お勧めの本も探してみます!

これからもよろしくお願いいたします♪

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