「忘却」とは死と近接した観念としてしばしば、とくにロマン派の詩人によく取り上げられるところだが、これに注目して『悪の華』の詩作を追っていくと「忘却の河」(レテ)にまつわる描写が多く飛び出し、さらに「陽気な死者」という詩編では「忘却の中に眠ろう」とある。
一貫した忘却へのこだわりと、その中での眠りを得る者が「陽気」であるというのは、ボオドレエルが紡ぐ死の甘美さをそのまま伝えてくれるだろう。
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- 感想投稿日 : 2020年3月16日
- 読了日 : 2020年3月16日
- 本棚登録日 : 2020年3月16日
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