Information: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

  • Oxford University Press (2010年3月26日発売)
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感想 : 2
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情報化社会やICTではなく、”情報”そのものを取り上げた一冊。情報といっても文脈によってその示すものが違うし、学問的に明確な定義も存在しない。たしかに毎日情報に触れ情報を扱っているわりに、情報ってなに?と言われたら困る。
情報の性質を分類したInformation Mapを手がかりに、簡単な例と一緒に情報とはなんなのかを探っていく。後半は経済学や生物学のアプローチも紹介されていて、小冊子の中にぎゅっと詰まった著作。

個人的に重要だと思うのは、第3章でシャノンの”mathmatical theory of communication”(MTC)の不十分性に言及しているところ。シャノンは情報理論の父として知られているけれど、MTCの実態としては情報の伝達というごく狭い範囲を扱った理論でしかない。だから、情報の意味内容の違いなどには一切立ち入ることもない。ところが、シャノンのMTCは情報技術との親和性が極めて高かったため、MTC=情報理論としての定着してしまった。理工系やIT業界の人でもそういう誤解は多い。そこをはっきりと指摘していることは大事なことだと思う。
MTCの不十分性を指摘しつつ統一的な情報理論の構築を目指したものとしては、西垣通「基礎情報学―生命から社会へ」「続 基礎情報学―「生命的組織」のために学」がある。オートポイエーシスを全面的に援用し非常に難解ではあるが、野心的な著作でもある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 洋書 その他
感想投稿日 : 2011年9月10日
読了日 : 2011年9月10日
本棚登録日 : 2011年8月2日

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