R.P.G. (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2001年8月21日発売)
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感想 : 845
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<u><b>ミステリー小説ではなく、無力な自分とどう向き合うかという自己啓発の本として</b></u>

<span style="color:#cc9966;">住宅地で起きた殺人事件。殺された男性はインターネットの掲示板上で「疑似家族」を作っていた。殺人に関わりが? 虚実が交錯し、見えてきたものは…</span>

途中で、この後の展開がわかってしまって、最後までその通り進んでしまったので、ミステリとしてはあまり楽しめなかったな。「レベル7」並に最後までどんでん返しのくるミステリが読みたいな。

まぁ、ストーリーがそこまで面白くなくても、宮部は何かいつも教訓をくれたり、心の中にぽっかり穴を残してくれる。そこが宮部のいいところだ。
今回はこの台詞が胸に着た。
<blockquote><i><b> 傷つき、怯え、悲しんでいるこの人に、この程度のことしかしてあげられない。</b></i>それもまた不甲斐なく、歯がゆいことではあった。
 しかし、それなりに長い警察官としての人生でちか子は学んだ。この道に奉職し続けるためには、もちろん、誰かを助けたり、誰かの役に立つために頑張り抜くという根性が不可欠だ。
 だが、それだけでは足りない。
 <i><b>それと同じくらい、いやそれ以上に切実に、誰も助けることができなかったり、誰の役にも立てなかったときに、そういう自分に耐え抜くことのできる忍耐力も必要とされるのだ。</b></i></blockquote>ちょうど、この本を読んでいる時、(まぁ、今もだけど)、他人の立場に変わってやることなどできず、ひたすら言葉をかけることしかできない自分に嫌気がさしてた。
どこの業界の人も同じだよな……忍耐か。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・韻文・物語・古典
感想投稿日 : 2018年10月8日
読了日 : 2009年6月24日
本棚登録日 : 2018年10月8日

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