日本政治の崩壊 - 第三の敗戦をどう乗り越えるか

著者 :
  • 中央公論新社 (2012年4月7日発売)
3.29
  • (0)
  • (3)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 31
感想 : 4
3

 2012年現在の政治の混迷は深刻である。経済の低迷は既に「失われた20年」以上になり、国のトップリーダーである総理の命が1年しか持たない状態がすでに5人となり、現在の野田総理も6人目となりそうな情勢である。本書は、その政治状況を冷静に見据えつつ、この間の安倍・福田・麻生・鳩山・菅・野田内閣が何を行い、何を行わなかったのかをわかりやすく考察している。
 本書の冷静で系統的な政治の考察を読んで、「政治」はつくづくワイドショーには、向かない課題だと思った。現在の視点で短時間に現状を切り取るマスコミの手法では、過去の経過と問題処理に長時間かかる政治課題を正確に認識することは困難である。
 本書は、日本の政治の現状をわかりやすく認識できる良書であるが、経過と課題の提起にとどまり、「ではどうするべきか」の解答はないようにも思え、その点がちょっと物足りない。
 それにしても本書の「日本政治の行き詰まりは深刻である」との重い認識に共感する。絶対に解けない困難な課題を「ゴルデァスの結び目」といい、この課題を解く「解」は確か紐をザックリ断つことであったと思うが、そのような容易な解決策はないものかと、本書を読んで嘆息する思いを持った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年7月3日
読了日 : 2012年7月3日
本棚登録日 : 2012年7月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする