本書は、幕末から明治にかけての明治国家の形成過程を、山形有朋という明治の元勲の活動を通じて描いたものであるが、歴史的事実は詳細に追っているのだが、読んでもあまり人物のイメージがわきにくく、理解しにくい。これは文章が練れていないのではないのかとも感じた。
幕末・明治期の著名な人物のなかで、たとえば坂本竜馬などに比べると、本書で取り上げた山形有朋は知名度は低いが、明治国家のグランドデザインの形成に関与した重鎮であることがわかる。
軍人勅諭は1882年(明治15年)に山形有朋の指示で出されている。また日清・日露戦争も山県有朋は政府の中枢で担っている。彼は、国民軍を創出し、拡張し、地方自治制度を確立し、警察制度を整えた。もちろん彼一人でおこなったことではないだろうが、まさに日本国家の師父のような存在だったのかもしれない。
しかし、その山県有朋は業績のわりには、評価されていないように思える。その理由についての考察が本書にはあまりないこともちょっと物足りない。
また、明治日本が帝国主義的な国策を選択し、朝鮮・満州に進出する国家戦略を推し進めた事が、その後の昭和の戦争につながっていることを考えると。その国策選択の過程と考察を、もっとわかりやすく知りたいとも感じた。本書は、歴史を忠実に追っているかもしれないが読んでもわかりにくい。
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- 感想投稿日 : 2012年4月7日
- 読了日 : 2012年4月7日
- 本棚登録日 : 2012年4月7日
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