詩が、戦争で死んだ人たちに捧げるためや、死んだ人たちに取り残された人たちの慰めのためにあるとは思わないけど、
純粋な詩でなく、あくまでも孤独な個人の生活に立脚した詩としてこれを読んだ時に、やるせなさとか弔いとか言う言葉じゃ接近しきれない何かにせまれるのは確かだし、その"何か"が生の実感であり詩にしか作り出せないものだと思う
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誰も聞いていない。
この喧騒の大都会の
背すじを走る黒い運河の呻きをー
あなたは聞いた。
氷と霧と蒸気と熱湯の地獄の苛責に
厚くまくれた歯のない唇をひらき
溺死人が声もなく天にむかって叫ぶのを...
「今日も太陽が輝いているね
電車が走っているね
煙突が煙を吐いているね
犬は犬の中で眠っているね
やがて星がきらめきはじめるね
だけどみんな<生きよ>と言いはしなかったね」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年10月29日
- 読了日 : 2023年10月29日
- 本棚登録日 : 2023年10月29日
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