ニコマコス倫理学(アリストテレス) 上 (岩波文庫 青 604-1)

  • 岩波書店 (1971年11月16日発売)
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本棚登録 : 1364
感想 : 52

<自然体でできる、ゆる~い善。>


 ニコマコスって可愛い響き♡ なんて安直な動機で読み出したら、思いがけず苦戦しました。格調高くて価値がありそう…なんだけど……、コテコテの古典で、私の理解が及びません★
 それでも、自分なりに読んだニコマコス倫理学について述べてみます。
 古代ギリシアの三哲人は、ソクラテス、プラトン、アリストテレス。なかでもアリストテレスは、数多の実績を遺していった知の巨人です。物事を客観視する方法、情報の整理の仕方、分かりやすい構成や法則の用い方、他……。後世に文章を書くのが好きになった人間は、みな彼の影響下にあると言えましょう★

『ニコマコス倫理学』は、アリストテレス自身ではなく、息子のニコマコス君がまとめたためにこの題名になったそう☆ 子どもに可愛いお名前つけたんですね。
 中身は幸福に至る倫理学。本当の幸福を得るには、得よりも善を目指したほうがいいよね、というようなことが説かれています。と言っても、アリストテレスが提唱する善とは

・困っている人がいたら助けよう。
・自分の能力やポジションでできることは役立てよう。
・仲間と気持ちよく過ごして楽しもう。

 ……こういう感じ。善行を施しなさいと命じるような堅苦しさがなく、ゆるい善なのです☆
 人間的に生きるって、こういうことなのだろうなと思います。あと、自己中心的にならず、周りと調和するコツとも考えられます。

 思うに、「本当に賢い人だな」と周囲に認められる人物には、自らの倫理観を端的に表せるセンスがあるのかもしれません☆
 人間の思考、実際にとる行動、生きる姿勢など、すべての土台になるのが倫理観。ですが、それらを他人に説明できず、「当たり前のことでしょ」くらいしか言えないと、混乱や誤解を招くわけです★ 「私はこういう感覚で生きてるよ」と明快に言語化できる人が、その後も自らの主義主張を第三者に納得させられるのではないでしょうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 続はっぴゃくじ
感想投稿日 : 2023年5月8日
読了日 : 2022年6月28日
本棚登録日 : 2022年6月28日

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