あやしい探検隊北へ (角川文庫)

3.65
  • (26)
  • (40)
  • (75)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 349
レビュー : 15
著者 :
木谷りこ★さん はっぴゃくじ@Review Japan掲載書評   読み終わった 

<「北へ」の一言で読むのを決めたのだった>


 平成四年の初版と出会ってから年数が経っていますが、今になって「あとがき」をすっ飛ばして「文庫版あとがき」に進んでいたと判明→再読!

(「あとがき」は探検隊に属していた男たちの消息(少々かっこいいフレーズになってしまった?)を伺えて、人生というやつにしみじみしなくもないちょっとした読み物が楽しめました。なぜ読み飛ばしたんだ。忘れただけかなぁ。当時の自分に聞きたい…)


 この本を手にとったのは、後ろについた「北へ」の一言で決めたことでした。楽園のような南国で、宝石のように美しく輝く海の色などを眺めながらの快適な旅行も楽しそうですが、南と旅行という言葉のコンビには私を警戒させる何かがひそんでいるのです。
「リゾート」「観光地」の、お客慣れしていそうな気配への警戒です。北も北海道まで行くと少し警戒。東北~甲信越辺りの、失礼ながら地味な、彩度の低さに惹かれるのです。

 本書での椎名誠とあやしい仲間たちは、主に新潟の粟島行きを繰り返しています。当時の粟島は、景色はいいけどとても不便な、正真正銘、本物の田舎だったようです。天候に恵まれない日に一行が渡島してしまうことも相まって、メンバーの顔色の悪さ、おやじの脂くささ、不衛生さは、いっそ見事なほど。
 それと、いい加減なのがいい。アウトドアはお金をかけるとつまらなくなる気がする。金遣いを楽しむような綺麗すぎる旅行記に内心嫌気がさしている人なら、こっちの世界に賛同するでしょう。

 途中、椎名隊長もついに優しい南の島ビームに当てられて磁石が狂いだすのですが、皆の冷たい視線に引き戻されて、再び北へのアタックが始まる。といっても、これまで以上に適当な計画で車を走らせ、行く手に雪がちらつき始めたところでおしまい。この半端さこそ、あやしいあやしい東ケト会によく似合います。
 話の続きが別の本に引き継がれたのかは知らなくて、知る機会があれば知ってもかまわないけれど、知らないままでいるのも面白そう…。

レビュー投稿日
2011年4月1日
読了日
-
本棚登録日
2009年10月1日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『あやしい探検隊北へ (角川文庫)』のレビューをもっとみる

ツイートする