副題は「中世的権威に挑む覇王」とありますが、実際には「覇王に挑むしたたかな天皇」のお話です。
"天皇"と普通名詞で語られていますが、実際に取り上げられているのは、戦国時代にともすれば廃位・簒奪などの危機にさらされた「万世一系」の皇統を、たくみに守り通した正親町天皇について書かれた本です。
いや、まったくこの天皇はすごいです。
他の信長に諂ったり、反発したり、怯えたりする小物登場人物(将軍、公家、宗教関係者、戦国大名)に比べて、なんと冷静でしたたかなことか。軍事的にはまったく無力な天皇ですが、実に政治的人物であり、英雄です。
すばらしい一冊です。
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文庫
- 感想投稿日 : 2006年5月28日
- 本棚登録日 : 2006年5月28日
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