世の中の一番暗い一面が切り取られています。
その一面を見て嘆くガストン(キリスト)の姿に言い知れぬ
感動とどうしようもない悲しみが襲ってきて読みながら泣いて
しまいました。
この作品は「海と毒薬」という本の続編なのですが、作品の
前提には歴史的事実「F市の大学病院での米兵への人体実験」
があります。この大学が私の出身校でもあるため余計に感情移入
してしまったのかもしれません。
人が人を裁くという行為の限界を痛切に感じることができる一冊
です。何が正義で何が悪なのか本当にわからなくなりますが、ただ
一つの純粋な善として描かれるガストンの存在が救い(まさに救い)
となります。
現代に現れたキリストを描いているガストンを見ていると
あの有名な詩の一部を思い出しました。
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ クニモサレズ
ソウイウモノニ ワタシハナリタイ
私もソウイウモノニなりたいです。
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カテゴリ:
小説(ヒューマンドラマ)
- 感想投稿日 : 2009年7月29日
- 本棚登録日 : 2009年7月29日
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