十五少年漂流記 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1951年11月20日発売)
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舞台は1860年。ニュージーランドのチェアマン学校の少年たちは、帆船・スルギ号で小旅行に出る予定だった。待ちきれない少年たちが前夜から乗り込んでいると、船はいつの間にか沖に流されていて──。

14歳のゴードンを筆頭に、船員のモーコーも含めた15人はみんな少年!頼れる大人がいない中、嵐の中で助け合いながら陸地に到着!と思いきやそこは島だった?!どこかもわからない島での冒険サバイバルが始まる!資材や食料は揃っていても、いつ終わるともわからない生活を続ける強さが眩しい。救助が来るかはわからない。船が近くを通っても助けを呼べるかもわからない。そんな中でも年少組に勉強を教えたり、イベントは祝ったり、生活を豊かにしようとする姿勢が素敵だった。

キャラも魅力的!ゴードンは沈着冷静なリーダータイプ。主役を担うブリアンもまた配慮と勇気を持った少年。ドノバンはブリアンに突っかかるも優秀で、猟の腕はピカイチ。器用で料理もできるモーコー。発明家であり、日記として書き記した物語の立役者バクスター。みんなの力があったから生き残れたのが伝わってきた。時には衝突したり、大きなトラブルに巻き込まれたりするも、心の底は純粋で真っ直ぐな少年らしさが瑞々しい。また、アメリカ人、フランス人、イギリス人など国籍を超えた仲間たちが一つになるのも熱い。

並々ならぬ苦労がひたすら続くものの、物語がサクサクと進むので読みやすい。ただ、単に省略するわけではなく、どういうことをするか、なぜするのかを丁寧に描いているのでリアリティが損なわれないところがよかった。冬には氷点下にもなる島の生活。ぼくだったら絶望しちゃうな…。少年たちが心に刻んでいたこの言葉を胸にしておきたい。

一、一度行おうときめたことは、必ずやりぬくこと。
一、機会(チャンス)を失ってはならない。
一、疲れることを恐れるな、疲れることなしには、値うちのある仕事はなしとげられない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年5月19日
読了日 : 2023年5月19日
本棚登録日 : 2023年5月19日

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