島田との対局が素晴らしかった。
「やれやれ…やっとこっちを見たな」
零が後藤との私怨に気を取られ、自分をなめていたことすら見透かした上で、勝負の席で静かに座っている懐の深さよ。羽海野先生が描く大人は底知れない深さも、人間臭さもあって好きだな。
「桐山のアタマをかち割ってやって欲しいのです」
二海堂が島田へ伝えた言葉。そしてそれは、
「桐山こそが僕の頭をカチ割って泥の中から出してくれたと思うからです」
という理由も好き。自分の言葉などではなく、兄弟子に対局で打ち破ってくれることをお願いするという思い。二海堂が島田をどれだけ信頼しているかが伝わってくる。
「ああ オレより強いヤツがいる オレより努力した人間がいる 『オレは独りぼっちじゃないんだ』って」
負けることで救われること、気づくこともある。
相米二の「どんなヤツでも一線でやってる人間で恥をかいた事無いヤツなんていねぇってコトにな」って言葉にも繋がるよね。
「無傷では決して辿り着けるわけもない世界」
傷だらけになっても独り、両足を踏みしめて世界の果てを往く。それを間近で実感できたことで、この敗北は零にとって大きな一歩になったのかなと感じた。
あと、林田先生の「一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ でないと実は誰もお前にも頼れないんだ」って言葉も好き。こんな声をかけてあげられる大人になりたかった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
漫画
- 感想投稿日 : 2019年10月31日
- 読了日 : 2019年10月31日
- 本棚登録日 : 2019年10月31日
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