中国文明の歴史 (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2004年12月18日発売)
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後半は歴史的事実を事細かに書き並べるだけで味気ないが、前半(古代~南宋・五代十国時代)は面白い。
古代から洛陽盆地は、黄河の性質とあいまって、水陸両方において交通の要衝として栄えていた。それより上流になると流れが急すぎ、下流だと氾濫に悩まされる。
夏は東夷の王朝で、龍(水神)を祀るのは東南アジアとの繋がりもある(続く殷、周ではこの風習は見られない)
殷は東北の狩猟民の王朝。
周、秦は西方の遊牧民の王朝。
また、漢字はもともと商人が使っていたする点も興味深い。
各民族それぞれの読みで読んでいたのを次第に一つの漢字に一つの読みへと整理された人工的な言語だった。
孔子などの各教団のそれぞれ独自のテキスト、読み方、文法が子弟相伝の閉鎖的なものだったのを、国家が文字の使い方を教えるというオープンな形にしたという点で、始皇帝の焚書坑儒は評価できる。
(後漢末の黄巾の乱で漢人は激減、北方異民族が大量に流入し、発音も北方由来のアルタイ語化する)
表音文字を使用する種族は情緒を表現する語彙が大量にあるが、表意文字である漢字はそもそも抽象的表現に向いていないので、『紅楼夢』のような小説でさえ感情を表現する文字はほとんど見られず、具体的な事実と行動の描写に終始している。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2022年4月14日
読了日 : 2018年5月10日
本棚登録日 : 2022年4月1日

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