ばくりや

著者 :
  • 文藝春秋 (2011年10月19日発売)
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本棚登録 : 465
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自分の「こんな能力いらない!」というものを別なものと「ばくって(=北海道弁で「交換して」)」くれる不思議なお店「ばくりや」の利用客をめぐる短編集。

「ついてなくもない」

人生の局面局面で何かと間が悪いことに悩むのぞみさんの話。ばくりやでその能力(?)を差し出そうとするも、わざわざ行ったばくりやは定休日だったり(うわあ…さすが間が悪いよね)、ばくるのはやめたほうがいいと止められたり。

その前までのエピソードでは、だいたいの登場人物が不要としている能力がほかのものと交換されているので、「へえー!ばくらない方がいい能力もあるなんてね〜」と思いつつ読み進めると、のぞみさんのアンラッキーなハプニングの裏では、実は周囲の人たちの人生の重要な選択肢を、ラッキーな方や難を逃れる方へもれなく進めさせているという一面が隠されていて、意表を突かれた。このエピソードが一番面白かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月14日
読了日 : 2023年6月9日
本棚登録日 : 2023年5月11日

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