怪異古生物考 (生物ミステリー)

著者 :
  • 技術評論社 (2018年5月29日発売)
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感想 : 11
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(借.新宿区立図書館)
先日読んだ荻野慎諧著『古生物学者、妖怪を掘る』がイマイチだったので、その荻野氏が監修を務めるちょっと前に出版されたこちらを図書館で借りて読んでみたもの。
本としてもまとまりはこちらのほうがはるかに良い。基本妖怪を古生物化石との比較で考えるというのだが、イラスト入りというところが効果的である。章末の荻野博士のコラムも悪くない。たぶんこれでは書き足りないということで『古生物学者…』を書いたのだろうが、残念ながら一冊の本にまとめる力を欠いていたようだ。
で、こちらの本だが、惜しむらくは著者の土屋氏には歴史とか古い文学に関してはちょっと知識が不足しているようだ。龍のところで正にかの椿井文書を使ってしまっているし(まあこの絵自体が偽書ということではないようだが、写したものではあるらしい)、その他引用の端々に若干不正確なところがみられる。もっとも、馬場隆弘著『椿井文書 ―日本最大級の偽文書』にはこの龍骨図は「ナウマン象」の物と書いてあるのでどっちもどっちなのかもしれない。(こちらの本によればトウヨウゾウ(ステゴドン属)とのこと)
一般的に、どうも専門外のことを書くと若干の不正確さが入ってしまうことが多いようだ。できれば専門の人に見てもらうようにすべきだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年12月5日
読了日 : 2020年12月5日
本棚登録日 : 2020年12月5日

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