こどもの頃、初めて読んだ青い鳥文庫がこの作品。
なんだかんだでシリーズは半分近く持っているけれど、いちばん好きで何度も読んだのはやはり一冊目のこの作品。
その完全版を古本屋さんで見つけ、
「えー、こんなの出てたんだ!っていうか、青い鳥のはカットされてたんだ?!」
と驚いて迷わずレジへ。
その数日後、福永令三氏の訃報が…。
すぐに読むつもりでそばに置いていたけれど、なんだかしんみりしてしまってなかなか開けなかったのをやっと読んだ。
シルバー王妃の12個の悪い癖がなおるまで帰らないと家出してしまったゴールデン王様。
一年以内にお城に戻らなければ、世界は色を失い滅びてしまう。
12人(12色)のクレヨン大臣の相談を聞いてしまった人間の女の子ユカは王様を探す旅に出るシルバー王妃のお供をすることになる。
シルバー王妃は12個の悪い癖を全く悪いとは思っておらず、反省するどころか反論する。
「なんでもほしがるのは?」「フォードは自動車がほしいから自動車を作ったのよ」
「お菓子しか食べないのは?」「ライオンだってリンゴは食べないわ」
「意地っぱりなのは?」「自己主張が強いといってちょうだい」
「うたがい深いのは?」「バカでない証拠」
すべてこの調子。こども心にシルバー王妃の口の減らなさにあきれたものだ。
12色がそれぞれ治めている12ヶ月の町を王様を探して旅するうちに、悪い癖のせいでトラブルに巻き込まれたり、人のフリ見て我がフリ・・・だったりで、少しずつ変わっていく王妃。
こどものユカのほうがよほどしっかりしていて、大人の王妃が悪い癖をなおしていくのが、こどもの頃おもしろく感じた理由かもしれない。
それぞれの町のイメージカラーでいっぱいの光景や歌われる歌などは、大人になった今読んでもとても楽しい。
シルバー王妃の12の悪い癖は、自分にも身に覚えのあるものも少なくないのだけど、昔も今もまっっったく縁のないことがひとつ。
「お化粧3時間」!
読み終わってから積んでいる本の山に新刊で買った帯つきぴかぴかの同じ本を見つけた。
見たとたん、買ったときの記憶がよみがえる。
本屋さん新刊のコーナーでやはり「青い鳥のってカットされてたの?!完全版!これは買わなきゃー」と迷わずレジへ持って行ったんだった…。
同じような経緯で重なって購入した本が入っている紙袋に古本屋さんで買ったほうを、そっと加えた。紙袋はそろそろいっぱいになる。
これは、きっとこの先もなおらないわたしの悪い癖だなぁ……。
(悪癖というよりトシのせい?というのは悲しくなるので考えずにいようっと)
- 感想投稿日 : 2013年3月15日
- 読了日 : 2013年3月14日
- 本棚登録日 : 2013年3月15日
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