宮本常一が父親から故郷を離れるときに送られた言葉「旅の10か条」と言うものがあります。私もこれを読んで出来るだけ真似したいと思っているのですが、凡人なのでなかなかです。でも高いところは出来るだけ登ろうとしていますし、車窓から見える屋根の形などはいつも気をつけています。韓国では江陵からソウルに向かう途中、一山を越えると屋根の形が綺麗に変わったのが印象的でした。村で屋根の形が統一されているということは、その村の求心力が強いということです。都会に近づくとばらばらになったのでした。
旅の10か条
(1) 汽車に乗ったら窓から外をよく見よ、田や畑に何が植えられているか、育ちがよいかわるいか、村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうこともよく見ることだ。・・・
(2) 村でも町でも新しくたずねていったところはかならず高いところへ上ってみよ、そして方向を知り、目立つものを見よ。・・・
(3) 金があったら、その土地の名物や料理はたべておくのがよい。その土地の暮らしの高さがわかるものだ。
(4) 時間のゆとりがあったら、できるだけ歩いてみることだ。いろいろのことを教えられる。
(5) 金というものはもうけるのはそんなにむずかしくない。しかし使うのがむずかしい。それだけは忘れぬように。
(6) 私はおまえを思うように勉強させてやることができない。だからおまえには何も注文しない。・・・しかし身体は大切にせよ。・・・しかし三十すぎたら親のあることを思い出せ。
(7) ただし病気になったり、自分で解決のつかないようなことがあったら、郷里へ戻ってこい、親はいつでも待っている。
(8) これからさきは子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中はよくならぬ。
(9) 自分でよいと思ったことはやってみよ、それで失敗したからといって、親は責めはしない。
(10)人の見のこしたものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。あせることはない。自分のえらんだ道をしっかり歩いていくことだ。
- 感想投稿日 : 2011年9月22日
- 読了日 : 2011年9月19日
- 本棚登録日 : 2011年9月19日
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