あるキング (徳間文庫 い 63-1)

著者 :
  • 徳間書店 (2012年8月3日発売)
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感想 : 651
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プロ野球が始まりますね。

伊坂幸太郎って、野球派かサッカー派と言えば、間違いなく野球派だよね。それは、この作品が野球をテーマにしているからだけではなく、今まで「ポテチ」とか、「逆ソクラテス」とか言う中篇を読んで来て思うことである。

此処に出てくる「仙醍キングス」は明らかに楽天イーグルスをイメージして描いている。万年最下位チーム、それをもはや恐れることすらなくなったオーナーや選手たち。そんな中、いずれチームの救世主となるべく生まれた山田王求の半生がこの作品の内容である。単行本の発行が2009年、文庫本は2012年。まさか伊坂幸太郎も1人の優秀な監督と天才投手を迎えて、楽天がリーグ優勝までいくとまでは、想像していなかったのだろう。

同時に、伊坂版「マクベス」ではなく、「マクベス読本」になっている。木下順二の「マクベス」を愛読して来た私にはとても嬉しい内容だった。

伊坂幸太郎は、マクベスを持って来てもなお、主人公の手を血で汚しはしなかった。そこに、私はこの作家を読み続ける動機を確認するのである。
2014年3月15日読了

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: あ行 フィクション
感想投稿日 : 2014年3月28日
読了日 : 2014年3月28日
本棚登録日 : 2014年2月18日

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