一行目:ひとりの老女が死んだ。
短編集。「屑の世界」「鼠たちの祭」「不敬列伝」あたりが面白かった。
批評できるほど著者の本を読めていないけど、旅ものよりは、その3つあたりが面白く読める。
で、「視えない共和国」に違和感があったのだが、途中で、沢木耕太郎って東京周辺の出身では?と思い至った。
著者自身に「自分もそうなるかもしれない」とか「自分もそうだったかもしれない」という視点がなさそうなので、地方の話に当てはめたときに、都会者が単純に好奇心でものを見るような、そんな感覚を味わったのだ。
もちろん、ルポライター(とご自身で書かれている)としてはあえて題材を「他人事」と見ているのかもしれないが。
今回印象的だったのは以下。
「漁民は信仰深いという。それも当然だ、とその時のぼくには思えた。この荒々しい自然の前で、どうしてぼくら人間がなにものかでありえようか。」
「《〜女王陛下の行列に向かって、野卑なことをいう人も出てくる。〜イギリス人はかなりきつく罰します。理由は、彼はいくらでも「馬鹿野郎!」と叫びつづけられるけど、パレードの中から女王陛下が「馬鹿野郎!」といい返すことは絶対できないじゃありませんか。フェアーじゃない、というのです》」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ・ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2023年5月31日
- 読了日 : 2023年5月28日
- 本棚登録日 : 2023年5月28日
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