ワンパターン、そう揶揄する人もいるだろう
確かに、前作『テルマエ・ロマエ』と被っている、古代から現代日本へのタイムスリップって展開が
けど、それの何が問題だ?
他の漫画家がやったならアウトだけど、ヤマザキ先生本人が新作に、そのネタを使っても、全く問題はない
それどころか、『テルマエ・ロマエ』に負けない面白さが凝縮されているのだから、逆に、ヤマザキ先生の実力の高さを賞賛すべきだ
前回の『テルマエ・ロマエ』のテーマが、心身を癒す象徴である入浴だったからか、この『オリンピア・キュクロス』は運動、しかも、オリンピックが土台になっている、をメインに持ってきている
既に、映画化の話が動き出していても驚きはしない
ただ、内容はともかく、競技者は時代的に真っ裸で運動するのが当たり前なので、その辺りが障害になりそうではある
また、古代ギリシャ人たちが登場するので、キャストを用意するのも大変そうだ
さすがに、再び、阿部寛さんに主人公のデメトリオスを演じてもらう訳にはいくまい。阿部さんの身体能力を疑う訳じゃないが、やはり、素っ裸で運動させるってのはマズかろう
まぁ、映画化云々は、その辺の決定権を抱えているお偉いさん方に任せるとして、この(1)の本編について語ろう
先にも触れたが、古代ギリシャ人であるデメトリオスが日本にタイムスリップし、そこで日本人の感性や文化に触れ、驚かされる。そして、その衝撃を元の時代に持ち戻り、新たな文化を生み出している
『テルマエ・ロマエ』と同じく、読み手に歴史が狂うんじゃね、とツッコませるストーリーであるが、この『オリンピア・キュクロス』は面白い、と感じさせる大きな理由は、彼がやってきてしまう時代が1964年ってことだ
そう、東京オリンピックに沸いている頃である
大戦の傷から立ち直りつつある日本人の熱に触れる事で、身体能力は優れながらも、他人と競う事に抵抗があったデメトリオスは、運動の楽しさに気付いていく
あくまで、素人の印象だけど、『テルマエ・ロマエ』を描いている時よりも大変なのではないか
何故って、ヤマザキ先生は古代ギリシャの事だけでなく、1964年の日本・東京についても、綿密な取材をせねばならない
ただ、大変な分、描く面白さは『テルマエ・ロマエ』の時よりも強いのかも
デメトリオスが本物の古代ギリシャ人である事を信じ、彼に真理を説く巌谷先生も良い味が出ている。この人が、古代ギリシャに行っちゃうってパターンも今後、あるのかな
どの回も、ヤマザキ先生のポリシーがひしひしと伝わってくる。その中で、私が最も衝撃を受けたのは・・・・・・次回予告だ
恐らくだが、他の漫画読みも、この次回予告に「マヂか!?」と驚いたんじゃないだろうか
あの人は、例え、後ろ姿であっても正体が何となく判ってしまう者だ
果たして、あの人との出逢いは、デメストリオスにどんな変化を齎し、古代ギリシャに何を起こしてしまうのか、ワクワクするような、ドキドキするような
この台詞を引用に選んだのは、本気の言葉だな、と感じられたので
ヤマザキ先生が、心の底から、観衆に多くの感動を与える運動や選手に尊敬と感謝を抱いていなきゃ、ここまでの説得力は生じない
相撲やアメフト、ボクシングと、ここ最近、次から次に問題ばかりが起こっているけど、一心に頂点だけを目指して、人生を懸けている選手らの努力だけは邪魔しないでほしいもんだ
問題を起こす輩どもは全員、スポーツの楽しさを忘れちまった可哀想な奴らなんだろうな
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- 感想投稿日 : 2018年8月18日
- 読了日 : 2018年7月29日
- 本棚登録日 : 2018年7月19日
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