私事で恐縮ですが、仕事が忙しくなってきたこともあり(週6で働いてる皆さん、共に何とかやっていきましょう)、この巻から簡単な書き方に変更させていただきますので、ご了承下さいませ<(_ _)>
巻五は、源氏36~39歳までの物語で、前半は皆が平穏に暮らす中、ただ一人「玉鬘の姫君」だけがお気の毒な展開に。
「蛍(ほたる)」
「秋好む中宮」は、重々しくて近寄りがたくて面倒だからと、親しみやすい方に行った結果、
『とんでもない異様な厭らしさ』なんて、姫君に感じさせちゃ駄目だっての(笑)
そのくせ、物語については、「わたしのような誠実なくせに、女に相手にされない愚か者の話はありますか」と、上手いことオチも決まったようです。
「常夏(とこなつ)」
それでも次第に慣れてきた姫君に対して、内心抑えていた彼の本能は逆戻りとなり、『ほんとうに怪しからぬお心です』と女房に突っ込まれる中、その驚きを軽く塗り替えたのが、内大臣から「こうまで変な娘」と言わしめる程の、早口でものの言い様も知らない世間知らずな「近江の姫君」で、彼女の地名ばかりを並べた支離滅裂な変な歌
草若み常陸の浦のいかが崎
いかであひ見む田子の浦波
の衝撃も凄かったが、それに対して負けずに地名を並べ立てた、中納言の君の返歌(当然代筆)の、
常陸なる駿河の海の須磨の浦に
波立ち出でよ筥崎の松
も凄すぎて、というか笑いを堪えるのが精一杯で、まさか歌で笑いを取るとは思わなかった、紫式部の才能たるや、素晴らしくも面白かったです。
「篝火(かがりび)」
内大臣の話を彼から聞くにつれて、姫君の心変わりかと思われる程の展開が意外にも感じられる中、「柏木の頭の中将」は、まだ実の姉ということを知らないのが、なんとも・・・ね。
「野分(のわき)」
何事にも几帳面で、きちんとなさるご性格の、「夕霧の中将」が様々な姫君を御覧になるお話なんだけど、彼は彼であるストレスを抱えているのです。
「行幸(みゆき)」
久々に源氏と内大臣が再会したことと、裳着の式に対する近江の姫君の不満が印象的でしたが、貴族の人達も、割と細かいことをずっと根に持つんだなというのが、何だか面白かったです。
「藤袴(ふじばかま)」
抑えきれないものがあったのか、夕霧の中将が、何故か姫君に告白してしまい・・・その後、彼にしては珍しく父親に刃向かう姿も、また印象的。
「真木柱(まきばしら)」
ここでまさかの展開となりますが、私の中で納得いかないのは、その時代ならではのやり方もあるのだろうが、姫君の意志はいったいどこにあるんだということで、それを勝手に決める女房ってどれだけ偉いの? とも思うし、それで人生の大事なことを決められてしまうのは、いくら輝かしき姫君のそれとはいえ、ちょっと辛すぎるでしょうと思うのですがね。
また、それとは対照的に、「北の方」がいきなり香炉の灰を浴びせかけた場面も、また印象深くて、紫式部は物の怪とか書いてるけれど、私は精神性疾患の一種かもしれないとも思うし、仮にそうでなくても、日常生活に於いて、つい感情的になってしまった、ごく当たり前の光景としても分かる気がして、そりゃあ、こういう気持ちになるでしょうよと、私は思いますし、寧ろ良くやったと拍手したいくらいで。
「梅枝(うめがえ)」
誰の調合した薫物が素晴らしいか、その優劣の判定をした、源氏の弟「兵部卿の宮」の優しさに癒された帖だったが、そんな中でも、源氏の語る「筆跡について」の考察は印象に残り、彼には色々と問題点も多いが、こうした中で感じさせる、それに対する真摯な思いを持っているのも、彼のひとつの個性として素晴らしいという点には、尊敬できるものがあると思う。
「藤裏葉(ふじのうらば)」
一方は、何と執念深いことかと物思いに沈み、もう一方は、他の姫君との噂でもう忘れてるのだろうと悲しむ、そんなすれ違いの恋も、源氏が立派な直衣と極上の下着を与えて後押しする中、ついに!!
そして、母と娘の久方ぶりの再会も感動的に映る中、源氏は全てが自らの望むようになったとばかり、ついにあれを決断か!?
というわけで、第一部は終了し、やっと折り返し地点に来ました。この後は下り坂となるのかどうか、乞うご期待といったところです。
- 感想投稿日 : 2023年9月6日
- 読了日 : 2023年9月6日
- 本棚登録日 : 2023年9月6日
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