人に歴史あり、家にも歴史ありということで、1900年からの約100年にわたる、イタリアのとある家の人生ならぬ、家生とも思えるような、歴史の積み重ねを見ている内に、自然と人間のそれと同じような感傷を抱くようになりました。
誰もいない荒れ果てた家に、住む人が現れ、二度の戦争を経ながら、その家族の幸せも悲しみも見つめ続けてきた半生は、その家族の歴史をありありと写し出してくれたが、やがて、その家族も去って行き、独りに戻ったときの家の姿にこそ、最も人間らしさを感じさせられ、その孤独さに共感を覚えずにはいられませんでした。
こうしてみると、人が住んでいる時の家には、何か家自身の魂というか、ある輝きを纏って見えるのも肯ける気がして、改めて、家と人間の関係性の大切さ、素晴らしさに気付かされた思いがしました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外絵本
- 感想投稿日 : 2022年5月12日
- 読了日 : 2022年5月12日
- 本棚登録日 : 2021年10月5日
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