小説の神様 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社 (2016年6月21日発売)
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本棚登録 : 2369
感想 : 215
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う~ん、これは少し、構成で損しているのではないかと思いました。

青春ものということもあるかもしれないが、文体が時折、軽い感じになるのが気になる上に、とにかく負のオーラを纏った主人公に感情移入出来ない。
と思ったら、急にヒロインと意気投合みたいな感じで、第三話を読み終えた時点で、読むの止めようかなと本気で思いました。

しかし、第四話に入ってからの急展開で、雰囲気がガラリと変わり、軽い文体もほぼ無くなり、物語の世界に一気に入り込めました。

ちなみに、私は「小余綾詩凪」が「千谷一也」に文庫本を叩き込むシーンにグッときたのですが、この時点では、まだ小余綾の真相を知らなかったので、それも含めれば、また違った感動を得ることになります。

そして、この作品で印象的だったのは、小説を書くことと、自分自身を好きになることや認めてあげることが、繋がっていること。もちろん、小説を書くことの出来る素晴らしさや大変さも実感したのですが、誰の中にも伝えたいことや想いがあること。そこには、辛いことや苦しいことや、しょうもないこと、何でも含めていいんだよ。他人が何と言おうが、あなたの中から湧き出してくるもの、全てがあなた自身の物語として認めていいんだよ。と言われているようで、自己肯定の大切さを感じました。

なので、出来れば、最後まで読んでほしいと思います。

それから、主人公の一也の序盤の感情移入のしづらさは、作中作なのかもしれません。物語の中で一也が、自分みたいな主人公の物語なんて、誰も読みたくないだろうと言っていたことに対して、相沢さんが意図的にやっているのかも。

もちろん、小説の素敵なところが、この作品に書いてあることだけではないとも思いますが、やはり、青春を謳歌している方々には、共感出来る点が多いのではないか、とは思います。



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年2月22日
読了日 : 2021年2月21日
本棚登録日 : 2021年2月18日

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