本書は、人生の経験値が極端に低い(!?)、歌人の穂村弘さんが、美人編集者のサクマさんと一緒に、様々な初体験に挑戦する、連作エッセイ集(2005年3月発売)となっております。
その初体験の内容が、ありきたりであっても、そこはやはり、ほむほむがすると、ウエディングドレスに対する憧れで、峰不二子(そういえばバイク走らせながら着ていた)と、メーテル(黒しか着ない)を連想したり、大相撲観戦で、「あっ、あの、こっこっこっこっこ」と、ニワトリのようになってしまったりで、面白い。
また、占いでの、「りそな姫」の非現実感の高め方の分析の、あまりの的確さに、うんうん頷いていたら、「サクマさんと私の間にも、本当の恋が生まれたりしないだろうか」なんて、心の中で思ったりして、分かりやすいよね、穂村さんって。
でも、その後のエピソードを読んでいくうちに、なんだか、お二人のやり取りも馴染んできたように感じられ、私も次第に、この二人が結ばれればいいのになんて、思ってきました。
まあ、絶対に無いだろうけどね(笑)
また、面白さだけではなく、ブライダルフェスタで涙が溢れる場面や、24年ぶりに祖母に会いに行く場面等、穂村さんの人間味溢れる、心温まるエピソードも印象的だと思っていたら、最後の初体験と、「あとがきにかえて」を読んで、思わず「ええっ!!」って。
そ、そんな、これって、もしかして・・・本当だったの?
ということは、これまで読んできた初体験が全て、穂村さんのかけがえのない、人生の一ページだったってこと?
ほむらさーーーん!!
すごいよ、ドラマティック過ぎる。
なんだか、感慨に浸るというか、呆然自失というか、よく分からない心理状態になりつつ、こんなこともあるんだなあと、改めて、「あとがきにかえて」を読んでみたら、
「えっ!?」
よくよく読んでみると・・・これって、どういうこと?
えっ、えっ、えっ!?
『ほんとにみんな こんなことを?』
『現実のなかで生きられない人間も、だからといって死んでしまうわけではない。現実とは少しずれた時空間で、ずれたまま生きていくのだ』
ということは、一日お父さんでの、ナナちゃんとチイちゃんとの、リアルな会話のやり取りも・・・大人の想像のはるか先を行く、子供の発想力の素晴らしさに感動した私の立場は?
そういえば、はとバスツアーの最後の行為に、「この人は全く・・」って思いと、「こんなこと本に掲載して、サクマさんは大丈夫なのかなあ」って思いもあったけど・・・そういうことだったのね。
ほむらさーーーーーーーーーん!!!
でも、プロポーズのシーン、感動しました。
おめでとうございます(といっても、2005年の話だけど)。
- 感想投稿日 : 2022年10月7日
- 読了日 : 2022年10月7日
- 本棚登録日 : 2022年10月7日
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